本校では,日本や京都に関連した探求テーマを設定し,国際社会に貢献するプランを考案して実践する「和輪羽プロジェクト」という探求型学習において,京都錦市場商店街にある陶器店と協力して,日頃の学習で身につけた英語の知識を活かし,陶器の特徴や使い方を英語で伝えるコンテンツを制作し,マチアルキで発信して,外国からの訪問客に利用してもらおうと計画した。
和輪羽プロジェクトでは,「学びを実際の社会に役に立てる」というコンセプトで探求型学習を進めている。学校の枠を超えて身近な社会に目を向け,「今の自分に何ができるか?」について考え,高校生の視点やアイデアで課題を解決する活動を通して,総合的な思考力・判断力・表現力を伸ばし,国際社会において真に必要とされる能力を身につけることを目指している。
マチアルキを活用した英語によるガイドコンテンツの制作および発信活動は,これらの目的に沿うものであると考え,実践に至った。
画像を読み取って情報にアクセスできるARは,情報発信ツールとして大変有効である。マチアルキは,表示する方法とコンテンツを用意するだけでARが制作でき,生徒だけでも十分に利用できる。そのため,生徒らはコンテンツの制作に集中することができ,単なるガイドに終わらず,豆知識やトリビアなども盛り込んだ充実した内容のコンテンツを制作することができた。
また,スマートフォンのアプリを通して簡単に情報を発信することができるので,生徒らが制作したコンテンツを多くの人に見てもらえるだけでなく,生徒らの活動を通して,陶器店や商店街にも貢献できると考えた。
京都錦市場商店街にある陶器店が,外国人観光客に適切な説明ができずに困っていることを知り,英語によるガイドコンテンツの制作に思い至った。
店に取材依頼のアポイントメントを取り,陶器についての詳しい説明や,陶器にかける想いなどを聞いた。
取材した内容をもとに,英語によるガイドコンテンツを制作した。文章の長さに配慮し,豆知識やトリビアも入れて楽しめる内容にした。
できあがったガイドコンテンツをマチアルキに登録し,AR化して動作チェックを行った。
公開に先立ち,店を訪問して完成したコンテンツを披露した。同時に,店を訪れた外国人観光客に,生徒自身が英語でアプリの説明をして紹介した。
取り組みが進むにつれ,生徒たちからどんどんアイデアが出るようになり,活動が積極的になった。完成したコンテンツを外国人観光客に説明する際などは,英語で堂々と紹介していた。また,終了後には,自らの活動を振り返り,できたことやできなかったことの分析もしており,大きな成長につながったと実感している。
協力いただいた店の方からも「陶器のことを分かりやすく説明してくれてありがとう」「本当に感謝している」という言葉をいただくことができた。
プロジェクトに関わった生徒は,これらの体験を通して自分たちも社会に貢献できることを知り,確かな「自信」が生まれたと感じている。