みんなが参加できる「楽しい」⇔「分かる」算数

兵庫県姫路市立白浜小学校 5年生
教科または分野
算数科

活用したICT機器,環境など
タブレット端末,大型テレビ,電子黒板ユニット
兵庫県姫路市立白浜小学校 5年生
教科または分野
算数科

活用したICT機器,環境など
タブレット端末,大型テレビ,電子黒板ユニット
実践の概要

本校では,算数科の体積の求め方の授業においてマチアルキを活用した。

図形にタブレットをかざすと,考え方のヒントとなる動画が再生されるコンテンツを作成し,児童の思考を促すきっかけとした。児童らは自らタブレットを使って動画を視聴し,グループで話し合いながら考え方を整理していく。そして,自分の考えを言葉で説明して表現する際にも,視聴した動画を用いるようにした。

マチアルキの活用は児童らの主体的な学びを生み,学習意欲の向上だけでなく,活発な対話を促すきっかけにもなった。

実践のねらいと目的

マチアルキを,算数科におけるイメージや概念形成のための補助手段として活用し,学習内容の確実な理解につなげられないかと考えた。そこで,児童の思考を促すような動画コンテンツを教師が作成し,マチアルキの持つ配信機能を利用して,児童自身に視聴させることに思い至った。

また,単なるコンテンツの視聴や,動機付けの手段としてのみに利用するのではなく,マチアルキの利用をきっかけに対話が生まれ,児童らの協働的な学びにつながる授業とするために,活用法を工夫した。

マチアルキ活用のメリット

タブレットから覗き見る世界に情報が付加されるマチアルキは,それ自体が持つ表現力によって,利用するだけでも児童らの学習意欲を向上させる。そして,「タブレットをかざす」「ヒントを自分たちで得る」という,マチアルキならではの動画の視聴行為は,『課題解決に向けた主体的な学習態度』を生み出すきっかけにもなる。

教師から与えられた情報を一方的に受け取るのではなく,情報を自ら主体的に取得するという行為は,学びの主体を児童に移らせることにつながる。そして,グループでの対話による,『協働的な学び』にもつなげることができる。

実践の内容
1. 体積の求め方を考える

これまでの学習内容をもとに,複雑な図形の体積の求め方を考える。

(1)個人思考(ワークシート)

(2)予め,4つの異なる考え方をもつ児童が集まるようにグループを編成しておく。(*ジグソー法)

2. 動画コンテンツを視聴する

児童らは,自分の考え方のマーカー画像の場所に移動し,タブレットをかざして考え方のヒントを得るための動画コンテンツを視聴する。

3. 式や文章にまとめる

視聴した動画コンテンツをヒントにして,同じ考え方のグループごとに式や文章をワークシートにまとめる。

4. 考え方を伝え,共有する

もとのグループに戻り,4通りの考え方を他のメンバーと共有する。タブレットを使用して,相手に伝えるために必要な場面を動画の中から選び,式や文章を場面とリンクさせながら説明し合う。

5. クラス全体で発表し合う

最後に,クラス全体で自分の考え方を発表する。グループメンバーの説明を聞いて,納得できた考え方についても自分の言葉で発表した。

実践の成果や今後に向けて

マチアルキを活用したことで,主体的な学習態度や対話を生み,協働的な学びにつなげることができた。授業後の感想は「楽しい」「分かった」という声が圧倒的に多く,楽しいから「分かる」,分かるから「楽しい」という双方向の関係性も見られた。「式のよみ方」など他の単元の学習でも同様の効果が得られたので今後もさらに活用したい。

また,「合同な図形」の学習では教科書のイラストをマーカーに設定して作図方法を動画で配信した。マチアルキは学校で視聴したコンテンツを家庭でも視聴できるので,一斉指導だけでは分かりづらい児童らへの支援や,振り返り学習にも効果的である。そして,家庭に学校のようすや授業内容を伝えることにもつながり,保護者からも好評を得た。