宇和島城の魅力を発信するコンテンツ「うわじままちあるき 宇和島城編」を制作し,マチアルキを通して公開した。コンテンツ制作に当たっては,宇和島市教育委員会文化・スポーツ課の学芸員に協力していただき,3回のフィールドワークを行った他,資料の提供を受け制作した。
制作したコンテンツは,宇和島城内の5箇所で閲覧できるようにし,地域住民や観光客向けのガイドとしての活用に加え,本校生徒の郷土学習に活用できるようにしている。
本校は,決してICT環境が整っている学校ではない。しかし,あるものを活用し,工夫することで,地域に貢献する活動ができることを生徒は知り,今後のICTを活用した学習に生かしていけると確信している。
本校は,総合的な学習の時間を活用し,地域の中から課題を発見し,調査研究を行い,思考・判断し,それをまとめ,発信する学習プロセスの中で,思考力・判断力・表現力の育成を目指している。
本年度は,ICTを効果的に活用したコンテンツを制作し,マチアルキで発信することで,次の3点を目標とした。
(1) 思考力・判断力・表現力の育成
(2) 郷土愛の醸成
(3) 生徒のICT 活用能力の向上
ARと聞くと,中学生が活用するには,難しいように感じていたが,マチアルキにプレゼンテーションソフトや動画編集といった初歩的な技術を組み合わせるだけで十分に活用できることから,今後,中学校現場でも広く普及していくことと考えられる。
さらに,この学習活動は,思考力・判断力・表現力の育成という今日的教育課題解決に添うものであり,主体的・対話的で深い学びの視点に立ったICTの効果的活用が図られるものである。先進性と普及性を併せ持つ活動と考える。
マチアルキで発信したい宇和島市の観光資源を考える。グループで話し合った結果,宇和島のシンボルである宇和島城に決定した。
宇和島城の魅力をインターネットやパンフレット・書籍等で事前調査した。
学芸員とともに,宇和島城のフィールドワークを行い,発信する内容について考えた。
取材内容に基づき,自分たちで作成した原稿の読み合わせと修正を行い,プレゼンテーションソフトを用いて動画の制作を行った。
宇和島城の各ポイントに出向き,学芸員と原稿の内容について確認し,必要に応じて修正を行った。
完成したコンテンツをマチアルキで公開し,観光客の方に紹介した。
生徒たちは,自分たちの制作したコンテンツを見た観光客の方から,「情報が整理されていて,これから見て回るのに大変役に立ちます」と感想をいただくと,「観光客だけでなく,地元の人にも宇和島城に来て,このアプリを使ってもらいたい」と答えており,この学習での新たな発見は,郷土に対する強い愛着をもたせるものとなった。
今回の活動モデルを基にして,3年生の総合的な学習の時間で実施していくとともに,その際には地域の人材を更に活用し,地域人材の意見を取り入れながらより充実した教育計画を制作したい。