本校では,教師が撮影した実験手順の解説動画を登録した「AR付きワークシート」を制作した。生徒はマチアルキを使って動画を再生し,自分たちで実験器具を組み立て,結果を出していく。
教師が前で説明するよりも「早く,確実に」ならなければ使っている意味がないので,動画は3分以内に収まるように心がけた。日頃,教師が前で説明しているものとは違い,4人に1台のタブレット端末で手順を見るので,聞き逃しも少ない上に何度も再生でき,大変スムーズに実験を進めることができた。
これまで,電子黒板やタブレットをはじめとしたICT機器を活用し,学習内容の可視化を行うことで,学力向上に努めてきた。実際,生徒からはわかりやすいという意見をもらったり,授業をしていて生徒の集中力が持続するようになったりしたように感じている。
しかし,電子黒板に表示する画像や動画はその場限りのものであり,生徒の学習の記録として手元に残らない。授業中に用いたものを教師の機器内だけでなく,授業外でも生徒の手元で使えるようにするにはどうすればよいかを考え,マチアルキを活用するに至った。
マチアルキの最大のメリットは授業外でも授業と同じコンテンツが見られることである。欠席者に対応できることに加え,出席していた生徒もテスト前に実験手順や注意点を家庭で復習することができる。実験以外においても,理解が難しい箇所の解説動画を登録しておくことが可能で,それが家庭学習の充実にもつながるだろう。また,自宅で活用することで,保護者の方々に学校での活動を知っていただく機会にもなり,学校と保護者の絆が深まるきっかけになるのではないかと考えている。
マチアルキの「画像認識機能」を使って,AR付きのオリジナルワークシートを制作した。
動画の撮影は教師自身がタブレット端末の動画撮影機能を用いて行った。実験器具はすべて生徒たちが授業で使うものなので,生徒に合った動画が撮影できた。
撮影した動画には,画像や文字を加え,「生徒により伝わりやすく」を心がけて編集を行った。
制作したワークシートを授業開始時に生徒に配布した。生徒はタブレット端末をワークシートに掲載されたマーカーにかざすことで,動画で実験手順を確認できる。
ジグソー型授業でもAR 付きワークシートを活用した。自分以外のグループが行う実験を動画でいつでも視聴できるようにした。
マチアルキは誰でも簡単にICT教材の配信ができるツールである。これを日々の授業で用いることで,生徒の定着度を高め,確かな学力の向上につながると期待できる。
授業の翌日には「マチアルキをインストールして早速自宅で使ってみた」,「テスト前の復習で使えそうで嬉しい」などの声を生徒から多くもらい,非常に好感触であったと感じている。今回紹介した実践以外にも,校内や校区の植物紹介動画や,授業中には行いにくい天体分野の観察などの動画も考えており,まだまだ活用方法は広がりそうである。